第126回冬樟展のお知らせ

ついに今年もこの時期がやって参りました。

お陰様で、私共の書展も今回で126回目を迎えることになりました。

京都大学書道部の冬の書展は、京都大学のシンボルである「樟(くすのき)」という漢字を入れて「冬樟(とうしょう)展」といいます。

今年は新型コロナウイルスの影響によりオンラインにて開催いたします。

 「第126回冬樟展」パンフレット

乘杉玲壽 一回生 

 臨書 楷行書 傅山『古詩十九首』 全紙

 行行重行行與君生別離相去萬餘里各在天一涯道路阻且長會面安可知胡馬依北風越鳥巣南枝相去日已遠衣帶日已緩浮雲蔽白日

 見るのは珍しいかもしれない、傅山の楷行書を臨書しました。変化に富んだ構成でまとめるのが難しかったです。機会があれば是非原典をみていただきたい作品です。

 大橋明日香 二回生

 臨書 楷書 褚遂良『楷書千字文』 半切

 交友(拐)分切磨箴規仁慈隠惻造次

 夏に書き始めてせっかくだからと書き続けていますが正直この法帖はあんまり得意じゃないです。

 渡部裕貴 三回生

 臨書 楷書 『馬振拜造像記』 半切

 董道歓路平高羅

 コロナヴァイラスのせいで様々なイヴェントが中止になっててかなしいですね。

 小林由佳 修士二回生

 臨書 楷書 光明皇后『楽毅論』 巻子

 樂毅論夏候泰初/世人(多)以樂毅不時拔莒卽墨爲劣。是以叙而/論之。/夫求古賢之意。冝以大者遠者先之。必迂廻/而難通。然後已焉可也。今樂氏之趣。(以下省略)

 学部一回生の冬樟展と同じ古典に五年越しに取り組み、書道部での出来事を思い出しながら書きました。様々な変化が求められるこの頃ですが、京大書道部が末永く部員の居場所として続いていくことを願っています。

 中林亮 四回生

 創作 楷書 李白詩『独坐敬亭山』 半切1/2

 衆鳥高飛盡。孤雲去獨閒。相看雨不厭。只有敬亭山。

 4年間、楷書ばかり書いていたような気がします。

 大西沙穂 一回生

 臨書 楷書 光明皇后『楽毅論』 半紙

 而して多く之を劣れりとするは

 高校生のときに一度書いたことがあったのでもう一度チャレンジしてみました。筆使いが独特で書いていて楽しかったです。

 秋友祥香 三回生

 臨書 楷書 張瑞図『王無功答馮子華処士書』 巻子

 王無功答馮子華処士書 乖別甫爾已十餘年誦采󠄁葛之詩増其慨詠夫人生一世忽同過隙合散消息周流不居偶逢其適便可卒歳。……

 巻子作品というものを書いてみたかったのです。

 乾未樹 二回生

 臨書 行書 欧陽詢『仲尼夢奠帖』 二六 二連

 仲尼夢奠、七十有二。周王九齢。倶不滿百、彭祖資以導養、樊重任性、裁過盈数、終歸冥滅、無有得停住者。未有生而不老、老而不死。形歸丘墓、神還所受。痛毒辛酸、何可熟念。善悪報應、如影隨形、必不差二。

 楷書で有名な欧陽詢の、数少ない行書作品です。躍動感と計算された空間のバランスに惹かれたのですが、自分で書くのは難しかったです。精進します。

 近藤毅 二回生

 臨書 行書 顔真卿『争坐位文稿』 全紙

 蓋太上有立徳。其次有立功。是之謂不朽。抑又聞之。端揆者百寮之師長。諸侯王者人臣之極地。今僕

 テストの忙しさに追われる毎日ですが、筆をとっている時間は流れがゆっくりなような気がします。筆を置いた途端勉強の進んでいない具合に絶望します。

 鈴木翔子

 臨書 行書 唐太宗『晋祠銘』 半切

 傳芳之跡斯在惟神誕靈周室降德

 オンライン合宿で書いた作品です。

 関美乃 二回生

 創作 行書 碧流飛白鳥 半切二分の一

 碧流白鳥を飛ばす

 北海道に行きたいです

 豊永嵩晴 三回生

 臨書 行書 黄庭堅『松風閣詩巻』 巻子

 松風閣 依山築閣見平川夜………周旋 (全文)

 時間と心にゆとりを持って書くことが大切ですね。(無計画なスケジューリングに定評のある私)

 大橋葵 四回生

 臨書 行書 小野道風『屏風土代』 巻子

 春日山居

 古洞春来対碧湾 茶煙日暮与雲閑

 山成向背斜陽裏 水似廻流迅瀬間

 京大書道部の一員としては最後の作品、卒業制作です。入学以来4年間、なんだかんだ楽しんで作品制作をしてきたのを思い出しながら書きました。色々な作品を見たり書いたりする中で見つけた、自分が一番楽しめるのが横作品、巻子作品だと気付いたので、最後も巻子です。書道を、書道部を楽しんできたことが伝われば幸いです。

 平野晶子 修士二回生

 臨書 行書 王献之『地黄湯帖』 巻子

 新婦服地黄湯来似減眠食尚未佳憂懸不去心君等前所論事想必及謝生未還何爾進退不可解吾当書問也

 最後の書展にして初めて自宅で清書をしました。来年度は後輩たちが心置きなく練習できる環境が整うよう祈るばかりです。思えば〆切の度に徹夜で先輩・後輩、そして同期たちと品評しあった日々は私にとって青春そのものでした。書道部での出会いに感謝を込めて。

 鵜川大輝 四回生

 創作 行書 四言詩 贈秀才入軍より 二八

 閑夜肅清,朗月照軒。

 微風動褂,組帳高褰。

 旨酒盈樽,莫與交歡。

 鳴琴在御,誰與鼓彈。

 仰慕同趣,其馨若蘭。

 佳人不在,能不永歎。

 家を墨で汚さないように、けれど作品が小さく纏まってしまわないように。どうしたらいいんでしょうか。

 覚道直治 修士一回生

 創作 行草書 満庭芳 『小春』 二八

 晴皎霜花曉熔冰羽開簾... 风雪灞桥深

 僕の苗字がどこかにあるんで探してみてください。

 坂本和歌子 四回生

 創作 行草書 『博學而篤志』 半切二分の一

 博學而篤志

 今年で卒業。大学4年間で様々な人や経験から、入学時には想像できなかった程沢山のことを学びました。

 松尾有輝也 四回生

 創作 行草書 『岐阜竹枝一節』 半切

 香魚欲上桃花落三十六湾春水来

 行間のバランスを取るのが難しかったです。

 戸髙海 一回生

 創作 草書 蘇軾詩 半切

 人生到處知何似 應似飛鴻踏雪泥 泥上偶然留指爪 鴻飛那復計東西 老僧已死成新塔 壞壁無由見舊題 往日崎嶇還記否 路長人困蹇驢嘶

 変化に富みつつも、破綻しないように筆脈を通すように努力しました。おもしろいと思ってもらえると嬉しいです。

 内田鈴菜 三回生

 臨書 草書 懐素『草書千字文』 半切

 寒來暑往。秋収冬藏。玉餘成律歳呂調陽。

 昨年度の夏に楷書、冬に行書と書いてきたので今回は草書に挑戦しました。「寒」や「冬」など季節を感じられるような部分を選んでみました。

 安田直記 四回生

 臨書 草書 傅山『野花如雪七言詩軸』 半切

 野花如雪••••••

 久々に筆を持ちました。あっという間に4回生も終わりです…

 栗原瑞樹 二回生

 臨書 隷書 金農『金冬心隷書冊』 半切

 如白人雖鬢髪…

 かわいい見た目に対して書くのはだいぶ大変でした。全紙への道のりは長そうです…

 柴田達哉 三回生

 創作 隷書 『九辯』 半切

 悲哉秋之爲氣也蕭瑟兮草木搖落而變衰憭慄兮若在遠行登山臨水兮送將歸

 悲しいンゴねぇ〜。

 市川拓真 四回生

 創作 隷書 『清風高節』 横45cm縦65cm

 清風高節 風竹相呑草木自馨

 家の裏の竹林を見てこの言葉を書きたいと思いました。竹のようにどんな困難にも折れずに立ち上がれる男になりたいです。

 坂崎亜実 三回生

 臨書 隷書 楊峴『古四種巻』 半切二連横

 先生諱泰。字林宗。大原介休人也。……(略)

 右上がりの線にならないように気をつけていたら、いつの間にか右下がりになっていました。癖って怖いですね。

 豊留まり 三回生

 臨書 木簡 尉史堅『掾譚』 半切

 失路不遠悔過遷臧至今不晩盗烏潰然

 前回に続き木簡です。先日授業で偶然、竹簡についての説明があり、若干テンションが上がりました。

 穴田小恵 三回生

 創作 調和 『笑うように生きる』 半切二分の一

 生 人はわらうように生きる

 いかなる時にも、何か自分なりの楽しみ方を見つけて自然と笑顔がこぼれるような日々を送れたら素敵だなという思いを込め書きました。皆さんの人生がより豊かなものになりますように。

 阿部朱夏 修士二回生

 創作 調和 『Cocoa』 40cm×40cm+27cm×40cm 二連

 (略)…… いつかの夢に描いたような今になれていますか ……(略)

 高校生の私が思い描いた大学生活とはだいぶ違った六年間だったかもしれませんが、予定調和よりも予想外の方が楽しいですよね。未だ充分な大人ではないけれど、様々な出逢いや縁に感謝しつつ、これからブレないつよいおとなになっていきたいです。

 吉田凌祐 四回生

 創作 かな 冬景色 半切

 こたつからみゆるやはしのひとどおり

 京都の橋の上も、今年は人が少なかったですね。外国語ばかりが聞こえていて賑やかだった橋も、すんなりと通れるようになって、良かったのか、悪かったのか。皆様、去りゆく年はいかがでしたか。来る年は橋も賑わうように、自宅から見守っております。

 吉田凌祐 四回生

 創作 かな・行草 和漢味比べ 豆色紙

 (かな)かきあかくいなだみのれりへいのうち

 (行草)霜落荊門江樹空 布帆無恙掛秋風 此行不為鱸魚鱠 自愛名山入剡中

 かなと漢字の小作品二つです。かなは子規の句、漢詩は李白「秋下荊門」です。両方とも秋の歌ですが、実りの秋に考えたので許してください。ちなみに、家の庭で秋には柿と栗と山女(あけび)が取れます。今年もおいしくいただきました。

 勝野初紀 五回生・中村勇真 修士一回生

 創作 行草 静動 全紙二分の一を二枚

 静動

 静に動あり(N)

 動に静あり(K)